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はのねののはそ

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はねぬは

に見えなくなった

に見えなくなった
夕方、信号のない十字路を渡ろうと、車が途切れるのを待っていた。左側から走ってきた大きなトラックが減速して、私が行こうとしている方向に左折で入っていく。その道が狭いので少し手間取っている間に、向こう側から若くない女性が走ってきた。白いポロシャツに白っぽいスラックスが運動用なのか普段着なのか分からない。ランニングをしているんだろうか?その女性がトラックを避け、二者が無事にすれ違う。そのまま女性は一時停止もせずにまっすぐ交差点に入ってくる。トラックが曲がり終えるまで待っていた後続車が、まさに直進しようとしているところに、だ南美旅行團

私からは、前から走ってくる女性と左から発進するタクシーが見えている。ああ、このままでは絶対にぶつかる、と思った。
女性がはねられてふわり弧を描く情景と、目撃者になってしまうということが、一瞬のうちにアタマの中を駆け巡る。その一瞬がまるでスローモーションのようだ。なのに私は「危ない!」という声を出せるわけでもなく、直視することもできずに、ただそこにぼけっと立っているだけだった。

けれども、幸いなことに対向車がなかったおかげか、間一髪でタクシーは女性を避けていた。交差点に3分の1くらい進入していた女性はといえば、そのままクルッと方向転換をして元来た道を戻っている。まるでそこでUターンをすることを予定していたみたいに平然としているように見えた。やがて車が途切れてわたしも渡ったけれど、女性の白い背中はどんどん遠ざかっていく。機械のように走る後ろ姿はすぐに見えなくなった文件櫃

しばらく歩いて最初の路地を左に曲がり、家に向かうなだらかな坂を上る。夕暮れも迫り、人影もまばらだ。そこに、なぜか前方からまたその女性が走ってきた。どこをどう巡ったら前から来られるのか分からないから、狐につままれたような心地になる。どこかに私の知らない抜け道があるんだろうか?それとも想像を超えた速さで走っているんだろうか。

鉄仮面のような無表情で、機械のような一定の速さで、女性は私の横を通り過ぎて行く。重い物を胸に抱えているのかもしれないと、勝手に思う能量水



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